新宿シティーハーフマラソン 学術講習会から

3.パイオネックス手技のコツ

 円皮鍼施術については、かねてから様々な手技が伝えられてきていました。今回(2009年1月)、私たち は、新宿ハーフマラソンの鍼灸ボランティアで、使い捨て円皮鍼(セイリン社製パイオネックス)を使用して、ランナーの皆さんの筋肉痛やその他の回復に役立 てていただこうと計画いたしました。そこで、円皮鍼の施術のコツを呉竹学園鍼灸科付属施術所の古海博子先生に教わりました。下はその概要についてまとめま した。当日は冊子を配布いたしました。

 「パイオネックス手技の概要:パイオネックスによる圧痛点治療については、呉竹学園東洋医学臨床研究所所長古屋英治先生が、「円皮鍼と圧痛点治療」 (『医道の日本』)において説明をされている。それによると、「皮膚のポリモダール受容器は非侵害的な刺激である「皮膚をかく」といった痛みを感じないよ うな刺激にも反応することから、円皮鍼のような刺入時に痛みを伴わない鍼刺激であっても、皮膚のポリモダール受容器は反応し、刺激局所では軸索反射による 血管拡張作用および刺激部位と同一脊髄神経支配の筋内血管に対して体性自律神経反射による血管拡張を促すことで、起炎物質であるブラジキニンや発痛物質で あるプロスタグランジンを洗い流すことが推測される。また円皮鍼は皮膚への浅い部分へ刺入するため、副交感神経の興奮を介して痛みの悪循環に影響する可能 性が考えられる」とされている。
 パイオネックス手技は、圧痛の部位的特徴を生かして行う治療である。コリと経穴の特徴である圧痛点における走行に向かって3点のパイオネックスを正三角形に貼ることによって効果を増大させる。

円皮鍼治療の原則

・圧痛点を探し、円皮鍼1本による治療を優先する。
・それでもなお圧痛点や動作痛が残る場合に「3点刺鍼」を用いる。

パイオネックス手技


東京医療専門学校
古海博子先生

①圧痛点・硬結を特定し、硬結端に第1点をとる。
②第2点は硬結の他方の端をとる。
③第1点と第2点から対角に第3点を決めて正三角形を形成させる。
※注意点;複数部位に強い圧痛が感じられる場合は、その中で特に強い圧痛点を特定して「3点刺鍼」をする。
ただし複数部位で比較した際、同程度の圧痛であった場合には、「3点刺鍼」を複数ヶ所にするのではなく、圧痛点1ヶ所につき、円皮鍼1本を使用して複数ヶ 所に添付する。パイオネックス「3点刺鍼」は、刺激が強いので、スポーツ選手に使用する際には、障害の程度に応じて判断する。